
『ソーシャル・セルフ 社会関係自我』書籍版:3月7日、電子版:2月1日刊行
現代人はなぜ複数の「自分」を持つのだろうか。「自分とは何か」という根本的な問いに社会的側面からどう答えたらよいのだろうか。
本書では8名の「自分史」分析を読みながら、「自分とは何か」を考えていく。中では、個人の自我の約7割が社会的特性で構成されることが確かめられている。また、理論的にはミードの社会的自我論が再解釈され、客我・主我論を超える「第三の自我=他我」が提示されている。自我形成は、家族・教育・地域文化などの重層的な社会的影響により、一者関係→二者関係→三者関係として段階的に発展する動的プロセスであることが明らかにされている。
客我・主我・他我の三層構造として、自我が複数の社会的作用源から重層的・動的に形成される「ソーシャル・セルフ(社会関係自我)」モデルが構築されている。これにより、自我の複数性・複合性が自我の社会性に原因のあることが明らかにされている。
本書の核心的貢献は、ミードの社会的自我論を再解釈し、客我・主我に加えて「第三の自我=他我」を提示した点にある。他我とは、対話を通じて他者の内面を直接理解し、社会全体の態度を内面化する能力を指す。
従来のソーシャル・キャピタル理論が外的関係性に焦点を当てていたのに対し、「内的ソーシャル・キャピタル」としての他我概念を提示。哲学上の「他我問題」への独自アプローチとして位置づけられ、自我の三層構造による重層的かつ複合的な形成プロセスを理論化した。
他者との関係性を考えることから、自分の人生を見つめ直すことができる。自分史を書こうとしている人、「自分とは何か」について考えたい人、自分がどのようにして社会との関係を結んできたのかについて知りたいと考えている人に勧める。
目次
ソーシャル・セルフ(社会関係自我)目次
第一部 ソーシャル・セルフ(社会関係自我)とは何か
•はじめに ソーシャル・セルフ研究の問題点
研究の出発点/研究プロジェクトの始動/自分史執筆の実践と発見/自我形成の社会的影響要因/研究方法論の構築/理論的枠組みへの展開
•第一章 G・H・ミードの社会的自我論の再解釈
社会的自我論の思想史的背景/ミード理論の基盤/客我と主我をめぐる二元構造/客我の理論的展開/主我の理論的展開/他我の理論的展開/総括
第二部 自分史の中のソーシャル・セルフ
•第二章 スポーツと転換の人生
幼少期/少年時代/青年時代/社会人以降
•第三章 理系出身者が貫いた学びと実践の人生
生い立ちと学び/秋田県職員三十七年/定年後の学びと活動/私の生き方と楽しみ/新型コロナウイルス感染と水害被災/おわりに
•第四章 遊びと学びの生活と三つのモットー
はじめに/好奇心の時代と客我の形成/理解の時代と主我の覚醒/伝達(コミュニケーション)の時代と他我の展開/まとめ
•第五章 地方から世界へ
生い立ち/社会人になる/第二の人生へ向けて
•第六章 放送大学一期生の専業主婦が辿った大学教授への道
子どもの頃/芽吹きの頃/若葉の頃/実りの頃/円熟の頃/おわりに
•第七章 「人間」への好奇心に駆られた人生
幼年期の微かな記憶と周囲の状況/小中高校時代の惑いと読書体験/僧侶修業時代に芽生えた人間に対する関心/宗教学徒時代の濃密な青春/「でもしか公務員」から始まる公務員時代前期/理想と現実の間で苦闘した公務員時代中期/消費者行政にのめり込んだ公務員時代後期と人生の転機/宗教と創作の世界への帰還/おわりに
•第八章 横浜の水道から始まった技術者人生
誕生期・子供期・学生時代/一回目と二回目の就職/広域水道企業団時代/技術上の変遷/生活の常識と仕事上の常識/定年後/おわりに
•第九章 ふるさと築館から千葉へ
はじめに/戦後のふるさと誕生期/幼児期/小学生前期/小学生後期/中学生期/高校生期/千葉県へ移住した就職期/家庭を持つ/母の上京と自宅新築/失敗談/母の入院と別れ/まとめ
第三部 社会関係自我(客我・主我・他我)の三者関係構造
•第十章 ソーシャル・セルフの複合性
客我・主我・他我の特性分析/客我の特性分析/主我の特性分析/他我の特性分析/まとめ
•おわりに
•参考文献
•索引






